携帯業界は囲い込みを無くす為のルール見直しが定期的に行われている
2019年9月以前までは携帯電話各社の料金プランは2年以内に解約した場合、高額な違約金が課されたり、違約金無しで乗り換えられる期間が少なかったり、自動で契約が更新されたりといった他社の携帯ブランドに乗り換えがしづらい仕組みとなっておりました。
しかし、2019年10月にルールの見直しが行われ、それ以降に提供される料金プランから携帯各社は違約金の額などに一定の制限が設けられ、契約者の囲い込みをしづらいルールへと変更になっています。
- 違約金に上限を設定
2019年10月以降の新料金プランの違約金の上限は1,100円へと変更。 - 2019年9月までに結ばれた契約であっても2023年末で完全終了
2019年9月以前に結ばれた契約であれば、2019年10月以降に改正されたルールの範囲外の違約金や割引額であっても、経過措置として、契約時の条件のまま更新や継続が可能でした。
しかし、この経過措置は2023年末にて完全に終了となっています。 - 違約金に関する規制の対象となる事業者
・NTTドコモ
・KDDI
・ソフトバンク
・楽天モバイル
・UQコミュニケーションズ
・ジェイコム地域会社
・ビッグローブ
など計28社が対象。(2023年12月27日時点)
2年縛りの廃止
以前までは2年縛りなどの定期契約プランや最低利用期間のあるプランをお使いの場合、解約のタイミングによっては違約金が発生することがありました。
●2年縛りとは?
携帯電話の料金プランに設けられていた2年間の定期契約期間の事で、契約更新が自動で行われる仕組みです。
月額料金が安くなる代わりに、契約期間中に解約すると高額な違約金が発生していました。
しかし、この2年縛りは2019年10月の法改正によって廃止されています。
現在は契約期間に縛りがないため、転出時にかかる費用なども少なくなり、利用者はより手軽に通信会社を乗り換えできるようになりました。
2年縛りの廃止以前は以下のような問題がありました。
- 契約期間中に解約すると違約金が発生してしまう
- 契約更新月と呼ばれる数か月のみでしか無料で解約する事ができなかった
- 2年契約が自動更新される月を前もって覚えておく必要があった
- 違約金を考慮して、気軽に他社に乗り換える事ができなかった

2年縛り廃止の経緯
2022年07月01日から消費者保護ルールが強化
2022年02月22日に電気通信事業法が改正され(施行は2022年07月01日)、消費者保護ルールが強化されました。
解約の際に請求できる金額の制限
これまで一部の携帯事業者のサービスを除いて、通信事業者は違約金等を自由に設定できました。
しかし、2022年07月01日以降に締結された契約からは、解約時に利用者に請求できる金額が制限されます。
請求できるもの
- 通信サービス、オプションサービスの利用料
- 通信サービス、オプションサービスの違約金(※上限1,100円)
- 通信サービス、オプションサービスの工事費等の残債
- 通信サービス、オプションサービスの撤去工事費
- 事業者変更のための手続き費
- レンタル物品の使用料
- 通信サービス、オプションサービスの提供の対価と言えるもの
- 利用者の支払いが遅延した場合における遅延損害金
請求できないもの
- 解約手数料
- 事業者変更手数料
- 工事費(※実際に工事が行われていない場合)
- レンタル物品の返送費
利用者が滞りなく解約できるように義務化
2022年07月01日以降に締結された契約からは、災害やシステムトラブルなど突発的な事象が発生した場合を除いて、通信事業者は通信サービスを遅延なく解約できるようにするための適切な措置を講じることが義務化されています。
義務化された事の一例
- Webで通信サービスを解約できるようにすること。
- オペレーターを十分に配置して電話で解約をしやすくする事
- 解約の予約をできるようにする事
禁止された事の一例
- 契約手続きと比較して解約手続きの電話を繋がりにくくする事
- 利用者が望まない引き止めを行うなど、利用者の意思に反して解約を遅延させる行為
電話勧誘における書面を用いた提供条件説明の義務化
主に光回線などといった固定回線では電話勧誘が多く行われています。
電話にて通信サービスを契約する場合、通信事業者は契約完了前にサービスの提供条件の概要を書面を用いて説明する事が必須となりました。
それ以前までは、利用者の許可があれば、Web画面など機械的な方法で説明したり、口頭で説明するといった事が可能でしたが、ルールの改正によって、契約前の説明には契約を検討している人に対して書面を交付する事が義務化されています。
▼電話勧誘時の通信サービス契約の手順
法改正により、こちらが義務化!
頻繁に乗り換える事のリスクやデメリット
2年縛りという契約縛りなどが撤廃され、契約者の囲い込みを防止する規制が強化された事で私たちはより気軽に携帯会社を乗り換える事ができるようになっています。
しかし、その一方で乗り換えた際に付与されるポイントや乗り換え割引などで安価に手に入る端末などを目当てに、短期間契約をした後に他社への乗り換えを繰り返すような方が稀にいらっしゃいます。
これには近年、携帯会社の競争激化によって乗り換えた際の特典が手厚くなっていたり、誰でもいつでも簡単にオンラインで乗り換え手続きが可能になった点などが背景に挙げられます。
しかし、携帯会社を短期間で頻繁に乗り換える事はリスクも伴います。
得をするつもりが、却って損をしてしまうケースも少なくありません。
乗換える際はしっかりと下調べをして、長く利用できそうな携帯会社を選ぶようにしましょう。
短期解約を繰り返す事のリスクやデメリット
契約自体ができなくなる
総務省によると、短期解約を理由に新しい契約を拒む事は電気通信事業法に抵触するため、原則では禁止されています。
しかし、端末の転売目的やサービスの利用意思を伴わない乗り換えと判断された場合には、通信サービスの契約を断られる場合があります。(ブラックリスト入り)
スマートフォンが利用できなくなるのは日常生活において、不便になる事は間違いありませんので気を付けるようにしましょう。
契約内容の理解不足
近年、携帯会社のプランや料金体系、オプションなどは競争の促進などもあって多種多様となってきています。
携帯会社のサービスやオプション等は説明を受けて、すぐに理解するのは難しく、最低でも1~2年はかかります。
よく理解できていない状態で急いで契約をしてしまうと結局、乗換え前の携帯会社よりも割高になってしまったり、自分のライフスタイルに合っていないプランを選んで損をしてしまうという事が往々にしてあります。
そういった点からも、むやみやたらに頻繁に乗り換える事はオススメできません。
通信エリアや通信速度の不安
携帯会社の通信速度や電波状況は地域によって差があります。
そのため、今使っている回線の電波状況は良くても、携帯会社を変えたら電波が入りにくくなってしまったというケースもございます。
特に回線を提供しているMNOの会社を新しい所に変える場合は注意しましょう。
不安な方は携帯会社を変えても、回線の提供元の企業は変えない事でリスクを減らす事ができます。(MVNOに乗り換える場合)
割引やキャンペーンの利用制限
携帯会社の多くは新規契約や乗り換えをする方に向けて、キャンペーンを打ち出したり、割引を実施している事があります。
しかし、そういったキャンペーンを目的に頻繁に乗り換えをしていると、利用をお断りされる場合がございます。
また、キャンペーンは期間限定で行われている事が殆どです。
そのため、キャンペーンに間に合う事を第一優先にしてしまい、下調べや理解不足のまま、慌てて乗り換えてしまうというリスクもございます。
そのため、キャンペーンを目的に乗り換えるのではなく、長期的に見て本当に自分にとってメリットがあるのかを第一優先にして、乗換え先を選定する事をオススメします。
一定の手間がかかる、料金が発生する場合がある
携帯を契約する際には身分証明書の掲示や支払い方法の登録、端末の通信設定など一定の手間がかかります。
また、携帯会社によっては解約手数料がかかったり、契約手数料がかかる所もございます。
頻繁に携帯会社を乗り換える事は、お得なキャンペーンを利用できるというメリットがある一方で、予期せぬ出費を招く恐れもあります。
乗り換える際は年単位での利用を前提に!
携帯会社も電波塔のメンテナンスや設置、利用者のサポートなどに多額のコストを掛けています。
私たちが節度を持った利用をする事で、更なる通信サービスやサポートの向上が期待できます。
現在では、スマホは生活に欠かす事のできない重要なツールとなりました。
通信サービスというインフラが使えなくなると私たちが日常生活を送るうえで、不便になる事は間違いありません。
短期解約は法律上では違法ではないものの、
いつでもどこでも通信回線を利用できるという事に感謝の気持ちを持ちつつ、
倫理的・道徳的な観点からも、できるかぎり短期解約は控えるようにしましょう。