2010年代前半までは大手3大キャリアが携帯電話業界を席巻
大手3大キャリアとは皆さんがご存じの通り、docomo、au、softbankの事を指します。
格安SIM(MVNO)が登場するまではこの大手3大キャリア(MNO)が携帯電話業界を牛耳っておりました。
この記事ではその大手3大キャリアについて1社ずつ振り返ってみます。
・NTT docomo

NTTドコモは、NTT移動通信網として1992年に発足しました。
発足当時は「mova」や「FOMA」といったケータイサービスを展開していました。
平成の携帯業界においてNTTドコモが与えたもっとも大きなインパクトは「iモード」という接続サービスである。
1999年からスタートしたiモードによって、携帯電話1つでメールの送受信やウェブサイトの閲覧が可能となりました。
iモードの登場によって、これまで通話としての利用がメインだった携帯電話のイメージを一変させたといっても良いでしょう。
また、ドコモは日本初のFelica対応の携帯電話も発売しており、「おサイフケータイ」として当時は一世を風靡しました。
最近では「モバイルsuica」「モバイルnanaco」「モバイルwaon」「ID」「QUICPay」といった様々な電子決済サービスがスマホに内蔵されるようになりました。
現代のモバイル決済はこのドコモが発売したおサイフケータイが先駆けであるといっても、過言ではないかと思います。
そんなドコモは、大手3大キャリアの中で携帯電話契約者数のシェアでトップを誇ります。
ドコモの特徴は何と言っても、さまざまなサービスを顧客に提供し、挑戦し続けているという事です。
2021年に発表した中期戦略においては「2025年度収益の過半をスマートライフ事業と法人事業で創出する」というテーマを会社全体で掲げています。
大企業から中小企業までワンストップでサポートし、社会・産業にイノベーションを創出することを目標としています。

・au

当初はIDO(移動通信)とDDIセルラーグループ(DDIセルラー系会社)という別々の会社がそれぞれ携帯電話事業を展開していました。
しかし、2000年に一つの会社へと統一され、その際に「au」というブランド名が誕生しています。
そして、2005年には「ツーカー」という別の会社も統合され、auとして展開される事となりました。
auは1996年に誕生した着信メロディ(着メロ)をさらに発展させ、CD音源そのものを携帯にダウンロードして着信音に設定できる「着うた」サービスを業界内で初めて提供しました。
2006年1月からは「LISMO(リスモ)」のサービスを展開。
LISMOとは携帯電話とパソコンを組み合わせた音楽配信、および電子書籍閲覧の総合サービスです。
LISMOでは主に以下のような事が可能でした。
- 携帯電話、パソコンで小説・コミック等の電子書籍の閲覧
- 携帯電話、パソコン、ソニー製ウォークマンやネットワーク対応ミニコンポでの音楽の傾聴
- 携帯電話、パソコンで「着うたフル」のダウンロード
- パソコン内の音楽を携帯電話に転送
- CDの音楽を携帯電話に転送
- プレイリストをほかの携帯電話と共有
- ダウンロードした音楽を着信音として使用
- 携帯電話内のデータ(画像、動画、着うたフルなど)をパソコンにバックアップ
- 携帯電話、パソコンで小説・コミック等の電子書籍の閲覧
また、2000年には業界で初の耐衝撃・耐水性能を備えた「タフネス携帯」と「音楽再生機能付き携帯」を発売。
2005年には業界初の「ワンセグ対応携帯」を発売しています。
そんなauですが、ブランドが発足してからの歴史はdocomoに次いで長く、携帯電話契約者数のシェアも2位を誇ります。
auは中期経営戦略として「社会を支えるプラットフォーマー」を目指しています。
あらゆる産業や生活シーンで付加価値を提供できる存在になるべく、事業変革を推進していくようです。
また、auは「グローバル事業」に力を入れている点も特徴の一つです。
・ソフトバンク

1991年に設立された「デジタルホン」と「デジタルツーカー」が1994年に2Gによる携帯事業を展開していましたが、両社は1999年10月に「Jフォン」というブランドに統合されました。
続く、2001年にはイギリスの「ボーダフォン」の傘下に入ります。
その数年後である2003年に日本でのブランド名も「ボーダフォン」へと変わります。
そして、2006年にブランド名が「ソフトバンクモバイル」となり、2015年に現在の「ソフトバンク」へと至りました。
昔の携帯電話は通話とメール機能のみでカメラ機能は兼ね備えておりませんでした。
現代のカメラ機能付き携帯、スマホのカメラの先駆けとなっているのが当時、Jフォンから発売されたシャープの「J-SH04」になります。
この機種は業界内で初めてのカメラ付き携帯でした。
この発売をきっかけにしてカメラ付き携帯が世に普及するようになり、メールに携帯電話で撮影した写真を添付して送るのがごく一般的となりました。
やがて、国民全体に「写メール(写メ)」として広く知れ渡るようになります。
ソフトバンクは当初、通信事業ではなくPC用パッケージソフトの「流通事業」を行っていました。
その後、2004年に日本テレコム、2006年にボーダフォンをそれぞれ子会社化し、「固定通信事業」と「移動通信事業」に参入しています。
2024年現在、ソフトバンクグループは1,254社の子会社を傘下に置き、巨大グループにまで成長。
大きく分けて5つの事業を展開しています。
ソフトバンクの企業イメージを問われれば、多くの人がスマートフォンや固定回線を提供する通信事業の会社であると答えるかと思います。
しかし、現在では「情報革命で人々を幸せに」という企業理念を据え、幅広い事業領域において最新のICTビジネスを展開し、社会と人々に豊かなサービスを提供する企業へと変容しつつあります。
既存の事業の枠にとらわれない新規事業を開拓していき、人々に新しい生活の豊かさを提供する企業を目指しています。
携帯電話会社各社の海外展開
- NTTドコモ
NTTドコモの通信サービス提供エリアは190ヵ国/地域を超える。
また、携帯電話のサポートに対応する拠点をロンドン、ニューヨーク、ホノルル、上海といった様々な都市に設置しています。
海外で携帯電話を利用する顧客に対して「無料充電サービス」「携帯電話の利用方法や操作方法に対するお問い合わせ対応」「電話による顧客からの24時間お問い合わせ受付」といった海外でより便利に携帯電話を使えるようサポートしている。 - au
auの海外データローミングサービスは160以上の国/地域で展開。
展開している国ではauのスマートフォンや携帯電話からデータローミングを利用できます。
auの海外データローミングには「au海外放題」「海外ダブル定額」といった複数のプランがある。
また、国際電話サービスでは一月の利用限度額が設定されているため、安心してご利用が可能です。 - ソフトバンク
ソフトバンクの国際ローミングは世界230以上の国/地域で提供されている。
日本国内で利用しているソフトバンクの携帯電話を同じ電話番号やメールアドレスで利用できるサービス「世界対応ケータイ」を提供。
ソフトバンクのローミングサービスには230以上の国と地域で国際通話を利用できる「0061国際電話サービス」、メールやウェブ、デザリングなどのデータ通信を定額で利用できる「海外パケットし放題」、最大3GBのデータ通信を24時間の定額で利用できる「海外あんしん定額」などがある。
2014年 楽天が新たに携帯電話事業へ参入

楽天の創設は1997年、まだインターネットで物を購入するのが一般的ではなかった時代に地方の小さなお店でも、ITに強くない人であっても、誰でも気軽かつ簡単にお店を開けるようにしていきたいというコンセプトの元で、インターネット専用のショッピングモールである「楽天市場」を開設したのがきっかけでした。
当時は従業員数6人、サーバーは1台、13店舗からスタートしています。
その後、1998年には現在のフリマアプリ「ラクマ」の前身である「楽天スーパーオークション」のサービスを開始。
2001年にインターネット上で宿泊予約ができる総合旅行サイトである「楽天トラベル」のサービス、インターネット上で書籍販売を行う「楽天ブックス」のサービスを開始しました。
2005年にはクレジットカード決済サービスの「楽天カード」を発行開始。
2009年に当時の「イーバンク銀行」を連結子会社化し、「楽天銀行」へと商号が変更となるなど、金融事業へもサービスを展開するようになります。
そんな様々な事業を展開してきた楽天ですが、2014年に「楽天モバイル」として携帯事業へと参入します。
当初はドコモの回線を借りてモバイル回線を提供する(MVNO)からの開始でした。
2018年にはau回線でのサービス提供も始め、MVNO時代の2019年5月には180万回線の契約を達成するまでに成長しています。
▼以下の記事にて楽天モバイルのMNO参入について解説
