2010年~ 4G(第4世代移動通信システム)

iPhoneイメージイラストは「イラストAC」より
2007年にApple社のスティーブ・ジョブズ氏が「iPhone」を発表。
当時、iPhoneは世界初のスマートフォンではありませんでした。
しかし、iPhoneは直感的なタッチパネル操作が可能といった他のスマートフォンにはない斬新的な機能を多く搭載。
世界で爆発的にヒットしました。
このiPhoneのヒットをきっかけとして世界では従来のフィーチャーフォンから次世代の端末であるスマートフォンへの移行が本格的に始まる事となります。
この翌年の2008年には日本のソフトバンクが「iPhone 3G」の取り扱いを開始。
これが日本国内で初めてのApple社が開発したiosを搭載したスマートフォンの販売であった。
そして、翌年の2009年にはNTTドコモが初めてGoogle社が開発したandroidを搭載したスマートフォン「HT-03A」を発売。
これにより、国内でも本格的にスマートフォンが国民に広く普及する事となります。
この時代の翌年に商用が開始された通信サービスが4Gです。
4Gは2009年3月に国際標準仕様策定団体によって策定されました。
そして、2010年にドコモ、2012年にはソフトバンクとKDDI/沖縄セルラー電話(現au)が国内で4Gの商用サービスを開始。
3Gでは国内の事業者であっても導入する規格がそれぞれ異なっていたが、4Gにおいては全ての携帯電話事業者で世界標準の統一規格が導入される運びとなりました。
国内でのスマートフォンの普及によって、通信サービスの高速化、大容量化に対する要望も年々高まっていきました。
そこで、4Gのアクセス方式には下りに「直交周波数分割多元接続」、上りに「シングルキャリア周波数分割多元接続」という方式を採用しました。
この方式により3Gよりも周波数の利用効率を高める事で大幅に広帯域化を可能とし、通信の高速化、大容量化を実現させました。
また、技術面では複数のアンテナでデータを並列に送る事が可能な「MIMO」という技術が採用された。
3Gでは回線交換方式による音声通信とパケット交換方式によるデータ通信の2つのネットワークが並存していたが、4Gからは音声通信もパケット交換方式に統一された。
これにより、携帯電話事業各社はデータ通信だけではなく音声通話においても定額制のプランを導入できるようになりました。
その後、4Gのさらなる高速化に向けて策定された規格が「LTEーAdvanced」である。
2012年に国際電気通信連合で正式に承認され、日本では2014年から携帯電話事業各社がLTEーAdvancedでの4Gサービスを開始。
この規格では「キャリアアグリゲーション」という技術が採用され、複数の帯域を束ねることで帯域幅を広げてさらなる高速化を実現している。
これを機に、4Gの通信速度はメガからギガへとさらに高速化する事となりました。
4Gによって通信速度の向上、大容量データ通信が実現
4Gはモバイルネットワーク技術として通信速度の高速化、データ通信の大容量化など移動通信システムにおいて大きな変化を世の中にもたらしました。
▼主な変化
- 移動中の高速通信が可能になり、さらにモバイル端末の利便性が向上した
- HD動画、フルHD動画のストリーミングや大容量のデータ通信がよりスムーズになった
- 音声通話もデータ通信として扱われるようになり、音声通話がよりクリアになった
- WiMAXなどの利用によって固定通信網と移動通信網をシームレスで利用する事が可能となった
- 4G対応端末の普及がより一層、世の中に広まった
4Gの通信速度は最大で100Mbps~1Gbpsであり、3Gの最大1~40Mbpsと比べて100倍以上と大幅に向上しています。
これにより、今まで3G時代では難しかった高画質動画もより手軽に外出先でもスマートフォンで視聴する事ができるようになりました。
2013年以降に広がり始めた4G/LTEは2012年には利用者数が200万ほどであった。
しかし、それ以降はスマートフォンの普及と共に年々増加し、2017年には1億人にまで達しました。

参考元:総務省「電気通信サービスの契約数及びシェアに関する四半期データ」
参考元:総務省「電気通信事業分野における市場検証に関する年次レポート」
2020年~ 5G(第5世代移動通信システム)
各世代の通信技術の歴史を見てみると、1G・2Gでは音声通話の品質の向上、3G・4Gではデータ通信の高速化や大容量化がそれぞれ多くのユーザーから求められてきました。
5Gは主にIoT(モノのインターネット)時代のICT(情報通信技術)の基盤として、高速化・大容量化を含めた更なる進化が求められています。
今までの通信速度は4Gが100Mbps~1Gbpsだったのに対し、5Gでは最大で10Gbpsと4G時代よりもおおよそ10倍ほど通信速度が速くなると言われています。
これまで1G→2G→3G→4Gと世代ごとに着実に通信速度が向上してきました。
5Gは更なる高速化を実現するものと言われており、それだけではなく「多数同時接続」「超低遅延」といった特徴も併せ持っています。
4Gまでの移動通信システムでは基本的に人と人とのコミュニケーションを行なうための手段として技術が日々発展してきました。
それに対して、5Gではあらゆる物や人がインターネットと繋がる「IoT時代の新たなコミュニケーション手段」としての役割を果たす事が大いに期待されています。
「多数同時接続」では基地局1台から同時に接続できる端末が、従来の移動通信システムと比べて飛躍的に増加しました。
例として、従来までは自宅内でPCやスマートフォン、家電製品等が同時にネットに接続できる数は数個程度だったのに対し、5Gであれば100個以上の機器や家電製品等を同時に接続することが可能となった。
実際に情報通信機構(NICT)が2018年3月に行った実証試験において約2万台の端末の同時接続に成功したと発表。
これにより、5Gを使って倉庫に保管している多数の物品や中身の管理を行なったり、災害時には多数の避難者に5G対応のウェアトラブル端末を着用してもらい健康状態を遠隔で管理する、といったこれからの生活において様々な活用方法が見込まれるようになった。
もう一つの特徴である「超低遅延」とは通信ネットワークにおける遅延(タイムラグ)を極めて小さく抑えられるという事です。
例として、自動運転のように高い安全性が求められるものにおいては、できる限り通信による遅延を少なくして、よりリアルタイムでの制御が必要不可欠になってきます。
また、ロボットの遠隔での制御や遠隔での医療手術といった用途においてもこの5Gの超低遅延の効果が最大限に発揮できるシチュエーションだと言われています。
前述したように、5Gはこれから来たるべきIoT時代には無くてはならない重要な基盤になりえるものです。
このような5Gの特徴を最大限に活用する事によって、これからのコミュニケーションのあり方が一新、そして新たなビジネススタイルの進展にも繋がることが期待されています。
5Gの主な特徴
1.高速通信
5Gの通信速度は4Gの通信速度と比べておおよそ10倍です。
最大で約10Gbpsという超高速通信によって4Kや8Kといった高解像度の映像にも対応できるようになりました。
これにより、高解像度の映像をより高速に転送でき、スムーズに視聴することが可能となりました。
例として、4Gでは2時間の映画をダウンロードするのに5分程度かかりました。
しかし、5Gではたった3秒で済むようになりました。
この高速通信はこれからの私たちの生活やビジネスにおいても、大きな変化をもたらす事は間違いないでしょう。

2.超低遅延
5Gの遅延(タイムラグ)は4Gと比較して1000分の1秒以下にまで改善。
ほとんどタイムラグが発生せずに通信を行なえるようになったといっても過言ではありません。
これによって、様々な機械においてよりリアルで直感的な遠隔操作が可能となります。
この超低遅延によって、遠隔操作でありながら実際にその場で自分が作業をしているような感覚で機械を操る事ができるようになりました。
私たちのこれからの生活においては、とくに車の自動運転において効果を最も発揮するのではないかと言われています。

3.多数同時接続
5Gは1つの基地局に対して同時に接続できるデバイスの数が飛躍的に増加しました。
5Gが同時に接続できるPC、スマートフォン、家電製品の数は4Gの時と比べると数十倍とも言われています。
現在、IoT向けのネットワークには主にWi-Fiが用いられています。
しかし、これだと利用できる範囲がごく一部分に限られてしまうのが現状で、より広範囲で利用可能な携帯電話網を使ったネットワークの構築が求められていました。
そのため、5GではIoTで携帯電話網が多数利用されることを想定し、4Gの10倍以上の同時接続が可能な仕様となっています。

▼移動通信システムの歴史について(前編)はコチラ!
